男性両声類の女声らしさに関わる特徴量の分析
Main Author: | 長谷川 翔太 |
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Format: | info publication-thesis Journal |
Bahasa: | jpn |
Terbitan: |
, 2017
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Subjects: | |
Online Access: |
https://zenodo.org/record/6214875 |
Daftar Isi:
- 近年、 男性によ る女声のよ う な発声 (ある いはその逆) を エンタ ーテイ メ ント の 一つと し て行う 人々 が増加し 、 主に動画投稿サイ ト など を 通じ て両声類の名で広 く 知ら れる よ う になっ た。 し かし 、 両声類の音声の、 異性の声ら し さ に関する研究 は進んでいない。 異性の声を 出すこ と を 目的と し た研究に性同一性障害者 (Male to Female transsexuals, MtF) に対する支援に関する も のがある が、 両声類はあく ま でエン タ ーテイ メ ン ト を 目的と し ており 、 自己の本来の声を 維持し たま ま 異性 の声を 出すも のであり 、 目的が異なっ ている 。 本研究では、 男性の両声類に焦点を 当て 、 彼ら の、 成人女性の自然な発声を 目 的と し た女声の音声から 抽出し た音響特徴量と その音声に対する イ ン タ ーネ ッ ト 上での主観的評価と の関係を 分析し 、 主観的評価に影響を 与えた音響特徴量につ いて調べる 。 音響特徴量を 抽出し 、 複数の分類器で属性選択を し た後に分類実験を 行っ たと こ ろ 、 記憶ベース推論を 用いた分類では分類率が 88%と いう 高い結果を 出し 、 こ の分類で用いら れた音響特徴量について 、 線スペク ト ル対周波数 (LSP 周波数) の 6 次元の第 1-3 四分位範囲の値が 0.3 以上の音声や LSP 周波数の 5 次元の第 1 四分 位数の値が 1.4 以下の音声などは高評価を 得ら れた音声が多い傾向が見ら れた。 ま た 、 複数の分類器によ る 属性選択で選ばれた LSP 周波数の 4 次元の第 3 四分位数 において 、 その値が 1.4 前後のも のは高評価を 得ら れた音声が多い傾向が見ら れ た。 分類実験の結果から 、 MFCC や LSP 周波数、 およ びそのΔ特徴量が分類に寄 与する こ と が分かっ た。 MFCC や LSP 周波数は声道特性を 表すパラ メ ータ であること から 、 スペク ト ルの情報が重要である と 考え ら れるため、 特に高い評価を 得 た話者と 低い評価を 得た話者の、 典型的な音声の/e/の発音の周波数スペク ト ルに 焦点を 当てて調べたと こ ろ 、 フ ォルマント 周波数の結果から 、 両話者と も に/e/の 発音である こ と が想定さ れ、 低い評価を 得た話者は、 高い評価を 得た話者よ り 第 2∼4 フ ォルマン ト が密集する 傾向があっ た 。 ま た 、 低い評価を 得た話者は、 高い 評価を 得た話者に比べてスペク ト ロ グラ ムが疎ら であり 、 フ ォルマン ト の時間推 移の起伏が激し い傾向があっ た。 MtF の関連研究において 、 声帯特性に関する 記 述が多かっ たため、 話者毎の平均基本周波数について も 調査し たと こ ろ 、 高い評 価を 得た話者は 200Hz∼240Hz 付近に多く分布し 、 300Hz を 超える話者は成人女性 の自然な発声に聞こえるという評価を得にくい傾向があることが分かっ た。