ピアノ練習支援のための楽譜表示システムの試作
Main Author: | 松村 ひかる,島田 彩女 |
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Format: | info publication-thesis Journal |
Bahasa: | jpn |
Terbitan: |
, 2017
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Subjects: | |
Online Access: |
https://zenodo.org/record/6214855 |
Daftar Isi:
- ピアノ楽曲を演奏するためには,習得するための練習が必要である.特に,成 人してからピアノをより上達させようとする人は,仕事などで練習時間がとりに くくなるため,効率よく練習をすることが必要になる. 既存研究では,上達のためにアドバイス文を呈示したり演奏情報を鍵盤上に投 影するシステムなどが存在する.しかし我々は,システムによる情報提示は事実 のみにし,その解釈や判断はユーザに委ねるべきだと考えている.理由としては, 万が一不適切なアドバイスが出力されてしまい,ユーザがシステムのアドバイス に不信感を抱いたら,モチベーションが低下する危険性が有ることなどが挙げら れる. 本研究では,上記の考えに基づき,演奏に対して楽譜どおり弾かなかった箇所 とテンポの変動のみを表示するシステムの開発を行う.ユーザはこれらの情報か ら,練習すべき箇所などを自ら判断し,効率的な練習を模索することを期待する. 評価実験では,12 人の被験者を 2 つのグループに分けて行った.システムで演 奏結果のフィードバックを見て練習する条件 1 の被験者と,フィードバックを見 ずに練習する条件 2 の被験者で,弾き間違えた音の数(Miss-note),余分に弾い た音の数(Extra-note),テンポの安定性の変動を比べ,システムの有意性を確か めた.実験の結果,弾き損ねた音の数は条件 1,2 ともに減少傾向が見られた.こ れは練習をくり返したためだと考えられる.余分に弾いた音の数は条件 1 では強 いマイナスの相関が見られたが,条件 2 ではほぼ相関が見られなかった.テンポ の変動については,有意な差は得られなかったが,双方概ね 5 回目は 1 回目に比べてテンポの安定性は増していた.また,被験者たちの中には 1 回目から 5 回目ま で両手で弾いた人・すべてを片手で弾いた人・途中から両手で弾いた人などがい たため,両手で弾いた人のみを比較した.その結果,条件 1 の弾き損ねた音符数 の T 検定の P 値はわずかに 0.05 を切らなかったが,有意傾向が見られた.条件 2 の方は有意差はなかった.余分に弾いた音の数は条件 1 の方が相関係数の平均は 少ない.テンポの安定性は 5 回目は 1 回目に比べて有意にテンポのバラつきが小 さくなっている.どの分析にせよ,両手のみだと人数が 4:3 になってしまうため, 今後人数を増やして再検討する必要がある. 実験後には自身のピアノ歴やシステムについてのアンケートに答えてもらった. システムを使用した 6 人にシステムに関する設問に答えてもらったところ,アン ケートは概ね好評だった.