カラオケのためのハモリパート練習システム~ハモリパートの自動生成および 練習システムの試作~
Main Author: | 白石美南 |
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Format: | info publication-thesis Journal |
Bahasa: | jpn |
Terbitan: |
, 2018
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Subjects: | |
Online Access: |
https://zenodo.org/record/6115672 |
Daftar Isi:
- カラオケの楽しみ方の 1 つに,主旋律と副旋律を 2 人で歌ってハーモニー を奏でることがあげられる.しかし,副旋律(いわゆるハモリパート)を習 得する際には多くの問題が発生する. 例えば,副旋律を練習するためのお手 本を探すのに手間がかかってしまうこと,主旋律歌唱者の特性(キー)を考 慮せず練習を行った場合,通常原曲の副旋律を練習するだけでは適切なハー モニーを奏でられないこと,ユーザが個人で練習を行った場合,実際にハー モニーを奏でる際につられてしまうことといった問題がある.このことから 本研究は,ユーザが副旋律を練習する際に生じる,“副旋律を担当するユーザ が副旋律を入手することが困難”,“主旋律歌唱者の特性(キー)を考慮でき ない”,“主旋律につられてしまう” の 3 つの問題の解消を狙ったものである. まず,副旋律を担当するユーザが副旋律を入手することが困難であるとい う問題については副旋律の自動生成を行い,副旋律歌唱者が手本となる副旋 律を探す・生成する手間を無くすことで解決する.なお,副旋律の自動生成 は隠れマルコフモデル(HMM),ルールベースの 2 手法で行う. HMM で は,主旋律における各音名を状態とし,主旋律および伴奏を観測系列とした HMM で,楽曲の調をもとにした出現確率,主旋律の音名の遷移確率,主旋 律をもとにした出力確率,伴奏をもとにした出力確率を利用している.ルー ルベースでは,副旋律は主旋律と 3,4 度の関係を取る場合が多いことから, 楽曲の伴奏を考慮して主旋律と 3,4 度の関係を副旋律として配置する. 次に,生成した副旋律を利用した副旋律練習システムの実装を行う.この とき,主旋律歌唱者の特性(キー)を考慮できない問題,主旋律につられて しまう問題を解決するために,2 つの機能を実装した.1 つ目の機能として は,主旋律歌唱者の特性(キー)を考慮できない問題を解決するために,練習楽曲の主旋律,副旋律,伴奏の音高を変更できる機能を実装した.これに よって,相手の歌唱者のキーに合った音高で副旋律を練習することができる. 2 つ目の機能としては,主旋律につられてしまう問題を解決するために,自身 の歌唱した音高を視覚化した状態でフィードバックする機能を実装した.こ れによって,ユーザは視覚化された自分の音高を,適切な音高に調節しなが ら歌唱することができる. 実装した副旋律練習システムの有効性を確認するために,まずは副旋律歌 唱者が手本とする副旋律が適切なものであるかどうか検証する.音楽大学の 大学院生が作成した正解データとの一致率を求めたところ,HMM で生成し た副旋律については,上ハモリが平均 52.3%,下ハモリが平均 53.6%となり, ルールベースで生成した副旋律については,上ハモリが平均 55.5%,下ハモ リが平均 64.2%となった.これらの一致率は正解データとの比較であるので, 一致しなかった場合でも音楽的に不適切であるとは限らない.このことから, 各手法において特に一致率の低い 11 曲(HMM:6 曲,ルールベース:5 曲) に対して音楽的な適切さの評価を別の音楽の専門家に依頼した.その結果, 11 曲全曲において 67%を超える評価となったため,各手法で生成した副旋律 は一定の音楽的妥当性があることが分かった.