グラフィックイコライザによる音色操作と印象の関係
Main Author: | 増田誠也 |
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Format: | Article Journal |
Bahasa: | jpn |
Terbitan: |
, 2019
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Subjects: | |
Online Access: |
https://zenodo.org/record/6115264 |
Daftar Isi:
- 近年動画投稿サイトの活性化により, ユーザが制作した動画や楽曲を簡単にイン ターネット上に投稿できるようになった. その中でも歌ってみた動画と呼ばれる素 人がアーティストやボーカロイドの楽曲をカバーして歌唱した動画が人気を博し ている. そこで, ユーザは音源制作を行う必要があり, その音源制作の重要な工程 の一つに, 音源のミキシングがある. ミキシングでは, エフェクターを用いて音源 に変化を与え, より良い音源にする必要があるが, エフェクターは多種存在し, ユー ザが意図した音色のパラメータ設定を行うには, 十分な知識や操作の慣れが必要と なる. 一方, 「明るい音」や「暖かい音」のような音色の印象語は, ユーザの望む音色 を表現しやすいため, これらの印象語を利用してユーザが望んだ音楽を生成するシ ステムが作られている. しかし, エフェクターと印象語の関係は, ほとんど研究さ れていない. 本研究では, エフェクターの中でも特にメジャーであるグラフィックイコライザ (GEQ) に焦点を当て, 印象語に基づいて, 望みの音色を GEQ を用いて合成するこ とを目的とし, 音色の印象と GEQ のパラメータ設定との関連を分析する. そのた めに音色の印象についての聴取実験を行い, 実験から得られたデータを基に GEQ のパラメータ設定と音色の印象語との対応関係を見出す. 聴取実験では, 著者がアカペラで歌った音源に 27 パターンのイコライジングを 適用させたものを, 被験者に聴取させ, 参考文献から抽出した 10 種類の印象語ごと に 11 段階の評価をしてもらった. その結果を基に重回帰分析を行った結果, 各印象語ごとの回帰式の係数を求めることが出来た. そこから, 「暖かさ」「太さ」「濁 り」「まろやかさ」「柔らかさ」は低域を強調すると印象が強くなり, 「派手さ」「明 るさ」「軽さ」「クリアさ」「存在感」は高域を強調すると印象が強くなることが分 かった. この結果は, 市販のミキシングのノウハウ本に記載されていた内容と一致 した. 今後は被験者を増やし本研究の結果が一般性のある結果であることを示し ていくとともに, この知見を活かしてユーザの求めるパラメータを自動で推定する システムを制作する予定である