ギターの弦を正しく押さえるための初心者支援システム

Main Author: 古庄優樹
Format: info publication-thesis Journal
Bahasa: jpn
Terbitan: , 2021
Subjects:
Online Access: https://zenodo.org/record/6114445
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  • ギターは趣味として人気の楽器である.ギターに挑戦する人は多いが,いざ手 に取ってみると,弦を正しく押さえることが難しく,ここで挫折してしまう人も 多い.その要因としては,正しい位置で押さえられていないことや,触れてはい けない弦に誤って触れてしまっていることが考えられる.初心者にとって,その ような状態になっていることに気付きにくく,正しく押さえることが難しく感じ ることが課題になっていると考えられる. 本研究では,ギターの弦を押さえた時に正しくギターコードを押さえられている かどうかを判定して,ユーザにフィードバックする支援システムを開発する. 本システムは,弦を押さえた時に圧力のかかる位置と弦に触れているかどうかを判定し, その判定結果をユーザにフィードバックする.圧力のかかる位置の判定は接触位置セ ンサをギター本体と各弦の間に挟み込み,弦に触れているかどうかの判定は静電容 量センサを各弦に接続して静電容量を検出することで実現する.実装には,ギター本 体にセンサと接続したArduinoを取り付け,そのArduinoとProcessingを連携する ことで,ユーザにProcessingの描画機能を用いたフィードバックする.練習対象とし ては,ギターの主要コード14種類(C,D,E,F,G,A,B,Cm,Dm,Em,Fm,Gm,Am,Bm) のうち,バレーコードの含まないものに限定している. 評価実験は,本システムを用いてギターの練習をしたときに,ギター演奏能力 に向上が見られるかどうかを確認するための実験を 2 種類を行った.片方は短時 間の間での練習効果を確認する短期実験で,もう片方は一定期間本システムを使 い続けた場合の効果を確認するための長期貸与実験を行った.短期実験では,3 名の協力者に,指定したギターコードを 20 分間ずつ支援システムを搭載したアコー スティックギターと通常のアコースティックギターで練習してもらった.また,そ れぞれの練習が終わったタイミングで通常のアコースティックギターで正しく押さ えられているか,その時の押さえ方で正しい音が出るかの確認を行った.最後に, アンケートに回答してもらった.正しい音が出るかの確認を行った結果としては, いずれも有意な差が見られなかったが,アンケートの回答結果からは,触れては いけない弦に触れてしまった時にすぐに分かったかどうかの質問において,平均 点がシステム搭載ギターでは 5.00 点,通常のギターのみでは 2.67 点で大きな差が あり,有用であると考えられた.長期貸与実験では,2 名の協力者に,2 週間の間, システムを搭載したアコースティックギターと通常のアコースティックギターを貸 与し,ギターコード貸与期間中に 1 日に最低 15 分の練習実験を行ってもらった. その結果,実験開始から回収時までで,日数を重ねるごとに 1 分辺りにコードを 正しく成功させる数が増えており,演奏能力が向上したことが分かった.また,ア ンケートの結果からも,システム搭載ギターのフィードバック機能は有用である と考えられた.