ファミコン風自動編曲システムの生成
Main Author: | 田原花蓮 |
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Format: | info publication-thesis Journal |
Bahasa: | jpn |
Terbitan: |
, 2021
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Subjects: | |
Online Access: |
https://zenodo.org/record/6114406 |
Daftar Isi:
- 現在, 有名な動画サイトには人気曲をファミコンの BGM 風にアレンジした “ファミコン風音楽”の動画が多く存在する. 実際のファミコンゲームの中で使われる BGM が “ファミコン音楽と”呼ばれることが多いことに対して, 人気曲をファミコ ン音楽風にアレンジした音源は “ファミコン風音楽”と呼ばれることが多い. “ファミコン風音楽”は, 有名曲のアレンジ動画が多く, 自分の好きな曲をファミコン風 の音楽にアレンジをしようと思っても音楽経験者でないと編曲は難しい. もし, 初心者が自分の好きな曲をファミコン風の曲に簡単にアレンジをすることができたら, 原曲を聴いた時との違った楽しみ方や魅力を発見することができる. 本研究は, 誰でも簡単に自動でファミコン風音楽を生成可能なシステムを提案する. ファミコン風の音楽にアレンジを加える最大の難所は原曲らしさを残しつつ, 音 の簡略化を行わなければならない点にある. ファミコン音楽の最大同時発音数は 4 音であり, 原曲では最大同時発音数が 4 音以上の音が存在するため, 原曲からを削 除する必要がある. ただ, 全ての曲に対して同じ削除方法を適用するだけでは, 元 の楽曲のアレンジは様々であるため, どのパートを削除してどのパートを残すのか に関して, 最適なルールをあらかじめ定めておくことは難しい. そこで本研究では, 様々な楽曲に対して適切な音の簡略化を行うため, 簡略化を 行った後のアレンジが満たすべき条件を定式化し, その式が最大になる簡略化を遺 伝的アルゴリズム (genetic algorithm:GA) を用いて最も相応しいであろう組み合 わせを決定する. 具体的には, まず, 各パートに対してそれぞれ適切な音削除が行えるよう, 各パートに対して音を簡略化する「変換ルール」を複数設計する. 変換ルールとは, たとえば、和音に対して一番上の音のみを残すといった様な音の簡略化のルールで ある. 次に, 最適化すべきパラメータを定義する. ここでは、各パートに適用する変換 ルールと各パートの優先順位の組を GA の個体とする. そして、変換後の音域やパート数が変換前にどの程度近いかなど, いくつかの観点から適合度関数を設計す る. これらの定式化の下, 遺伝的アルゴリズムを適用することで, 各パートに適用 すべき変換ルールと各パートの優先順位が決まるので, 変換ルールに従って音を削 減した後, 優先順位が高いものから決められた音数まで音を残すことで, 指定され た制約を満たす原曲により近いアレンジを実現することができる. 本システムで生成されたファミコン風音楽は, 原曲に対し適切な音選びがされて いたのかを確認するために異なった方法で生成された 4 つアレンジ曲に対して 2 種類の評価を行った. まず, 音楽専門家に評価してもらう主観評価を行った. 変換 ルールを用い,GA を行わないアレンジ 3 が最も高い評価が得られた結果となった. 次に適合度関数を用いて高い評価値が出るか, という客観評価を行った. 客観的評 価では 1 曲ごとの適合度と,15 曲の平均値を求めた. 結果は, 4 つの調査を行った ところ調査 1 ではほぼ 4 つの調査の 15 曲の平均値は変わらず, 調査 2 と調査 3 で は 15 曲の平均値がアレンジ 1 と続いて少しの差でアレンジ 3 が高い結果が得られ, 調査 4 では 15 曲の平均がアレンジ 2 が最も高い評価となった. この 4 つの調査を通 して, 総合的に高い評価を得られたものは, 変換ルールを用い, 小節ごとに GA に行 うアレンジ 1 と変換ルールを用いらず, 小節ごとに GA に行うアレンジ 4 の手法は 最も精度の高い結果であった