フルート演奏支援システムのための音響分析
Main Author: | 大下 沙偉 |
---|---|
Format: | info publication-thesis Journal |
Bahasa: | jpn |
Terbitan: |
, 2022
|
Subjects: | |
Online Access: |
https://zenodo.org/record/6002365 |
Daftar Isi:
- フルートは息の向きや吹く時の口の大きさを変えた時の音の変化量が大きい楽器である. そのため, 初学者にとって, 自分の音を聴いてどのように改善すればよいかを自ら判断するのは, 簡単なことではない. そこで本稿では, 吹いた音が良い音か, また, どのように修正すれば良い音になるのかを判断できるシステムの作成の実現のための音響分析を行う. フルートの音響分析に関しては, これまで様々な研究がおこなわれていて, 音色の良し悪しと音響的特徴の関係を議論するものや, 正しい音を吹いているのかを判断するシステムなどがあった. しかしどのように修正すれば良いかを判断するには音響的特徴と吹き方の関係性を考慮することが重要である. 分析方法としてフルートの演奏音の吹き方や主観評価の違いによる音響特徴量の差を調べる. そのためにクラウドソーシングサイトにて演奏音と音に対する主 観評価の収集を行う. その音の振幅, 基本周波数, 振幅スペクトルから音響特徴量を得て, 自動評価である線形回帰と決定木を使い, 吹き方や主観評価ごとの分類を行う. 自動評価の精度から判定条件を考える. 集めた演奏音を分析した結果, 主観評価の良いものと悪いものの音響的特徴の差が現れ, 先行研究の知見と一致する部分も見つかった. しかし吹き方の違いによる特徴量の分布の違いは見られなかった. 線形回帰で得られた式を使用し, 主観評価の値を予測すると, 二乗平均平方根誤差 (RMSE) は0.7ほどであった. よって主観評価の予測はある程度はできると思われるが, 実際の評価が高い場合の予測はあまりできていなかった. 決定木で吹き方の分類を行うと[普通]と[その他]の識別率は7割ほど, さらに細かく分類すると識別率は5割以下となった. また主観評価の分類を行うと, 識別率が8割以上となり, 最大で9割を超えるものも存在した. このことから, 音響特徴量の分析と自動評価の結果より, 適切な吹き方ではないこと, 主観評価の値はある程度判断できるといえる. 一方, 原因の特定は難しい可能性が高いと考えられる.